La la la
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| 「なんで、裕ちゃんは急に冷たくなるのかな、って」 なっちも缶ビールを見つめたまま、だからお互いに正面を向いたまま切り出した。 「冷たいことしてへんで、別に」 「そうじゃなくって、なんかさぁ?すぐに、茶化したりして……からかってるっしょ。なっちのこと」 「……ん」 静かな声が、そこで途切れた。 首だけで裕ちゃんを振り向いたら、前髪をかきあげてる長い指が見えた。 「や。せやって。恥ずかしいじゃないですか」 いきなり口調を他人行儀にして、呟くように裕ちゃんが言った。 「恥ずかしいって何さ?」 「――だから。なっちにちゅーして、ぎゅっとしたまんまやったら。バレバレになるでしょ」 「……何、が」 「あたしが。こんなに、なっちのこと、めっちゃ好きですよ、って」 伏せた、眼差し。辛そうに笑う、口元。 それは仕事中にだけ時おり見え隠れする、自嘲的な裕ちゃんの表情。 あたしは、なんにも言えない。言葉にならない。 聞きたいことはいっぱいあって。言いたいことも、言ってほしいこともたくさんあって。喉が熱くて。 でも、どうしてもなにも言えないままで、裕ちゃんを見つめていた。 かろうじて動かせた手で、裕ちゃんの腕にふれる。それがさっきよりも冷たくて、悲しくなった。 「……そのうち嫌われるんやろな、って思ってた。なっちのこと振り回してばっかりやったから。それは」 「……」 「仕方ない、て。でも、どっかで言いたくてもう堪らなくて、でもめっちゃ怖くて。ずっと」 「……」 「……ずっと」 掠れる言葉の続きを待ってるだけの自分はずるいと思った。 だから、腕を伸ばして。髪にふれて。あたしはそのまま裕ちゃんを抱きしめる。 苦しい息も泣きたい気持ちも、きっと一緒だと思えたから。 裕ちゃん。 「なっちは、裕ちゃんのことが、好きです」 ね、裕ちゃん。 「ホントだよ?本当に。大好き」 だから。裕ちゃん。 「……大好き……」 だから。 さらさらと裕ちゃんの髪を撫でてる指が、自分ではどうにもならないぐらい震える。 抱きしめてる腕も、声も。全身から抜けてゆく力を止められない。 崩れ落ちそうになったそのとき、裕ちゃんの腕が瞬間的にあたしの身体に回された。 強く強く、何の気遣いもなしに。 ――だから、離さないでね。 しっかりと支えてくれる腕に、安心して目を閉じる。 もう、何もごまかしたりしなくていいから。不安にならなくていいから。 ね、裕ちゃん。 もう、泣かないで……ね。 |