La la la
−7−



いつもより長くふれてた唇が離れて、すぐ。

裕ちゃんは不意に立ち上がって、ひらり、とキッチンへ向かった。

その場の空気とか雰囲気とか、そういうの全部を立ち切って。



……そういうのが、分かんないんだってばさ。

たぶん行き先は冷蔵庫だと思われる、その背中を見つめながら唇が自然と尖る。

なんだか納得がいかない。……だって、キスの後、なのに。



いつも、そうなんだ。抱きしめられてキスされて、それで、ぱっ、て放されるみたいで。

そうしていきなり一人にされると、とっても寂しく感じるってこと。分かってる?裕ちゃん。

「だからぁ、なんでそこでビール持ってくんのーっ」

キッチンから缶ビール片手に戻って来た裕ちゃんに、あたしはクッションを投げつけるふりを、した。



「えーやん、一本ぐらい」

「だぁーめーっ!なっちまだ裕ちゃんに聞きたいことがあるんだってばあっ」

さっきみたく隣に座って、プルトップに指をかけてる、その腕にしがみつく。

「そんなんなぁ、これっくらい飲んでも裕ちゃん酔っ払いませんから。平気やって」

「もー……っ、なっちとビールとどっちが大切なのさっ!?」



しがみついてた腕が、ふいに自分のそばに引き寄せられる感触。

裕ちゃんが、ビールから手を放したから、と。

力が入らないだろうってぐらい思いっきり、笑い出したから――。



「っはははぁっ!はーっ、あー可笑しい。なっち……なっち……っははーっ」

「なんでっ!?なんで笑うのー!?」

裕ちゃんはオナカを抱えて笑っている。あたしを腕にしがみつかせたまま。

「やー、だって自分そんなこと、ホンマに……」

笑い過ぎて苦しそうな呼吸の合間、途切れ途切れの言葉。

それからやっと、はー、って大きく息をついて、顔を上げて。

「……何をゆーねんな、この子は」

柔らかい目で、あたしを見つめた。



「分かりました。も、何でも答えますよ?」

裕ちゃんは、あらたまって向き直って。

缶ビールは、テーブルの上に置いてきぼり。



……なんか、ちょっと。かなり。嬉しい。






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