La la la
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| 「ビデオでも見る?圭織に借りてん、映画の、何やったかな」 「だーめっ。お話しするんだから」 裕ちゃんの手からリモコンを取り上げる。細い白い腕が、なんだか目に眩しい。 その腕をそっと掴んで、向き合って。 「……はい。何でしょう?」 「もー。だからぁ、なっちは裕ちゃんに聞きたいの。裕ちゃんが、なんでそーゆうっ……」 くんっ、と腕を引っ張られて、速攻でほっぺにちゅー。 そのまま、裕ちゃんにぎゅっと抱きつかれた。いつも楽屋でふざけてるまんまの調子。 「なっちに、こないなコトするかって?」 「……そうだよ。なんで?」 「なっちが可愛いから」 耳元に即答と余裕の笑い。いつもの答え。 「だからぁ、それだけじゃ分かんないべっ?」 「そういうのも、可愛いから」 落ち着いた声。それから、軽く耳に唇がふれた。 あたしがいつもより抵抗しないでいるのは、まぁ――他に誰もいないし。口紅つく心配もないし。だから。たぶん。 それでも腕の中でじたじたともがいて、身体を離したのは。嫌だったんじゃなくて、顔が見えないとなんか不安だから。 そうして、まっすぐ瞳を見れば、その静けさに吸い込まれそうで。言葉が出てこない。 「……やっぱ、よく分かんない。だって、なんかさぁ、だってそんなの……」 「んー。そーやなぁ」 裕ちゃんは、微かに笑って。延ばした腕でなっちの頭をいいこいいこってして。何故だか、ゴメンな、って謝った。 「上手く言われへんけど。なっちは特別なん」 「なっ……」 耳が、かーっと赤く、あっつくなった。 特別。なっちは特別。初めて言われた、そんなこと。 ってゆうかそんなこと言われちゃって、いいんですか、なっちは。ねぇ裕ちゃん。 「……そんな照れんでもえぇやん。あー可愛い、ホンマに」 「しょーがない……っしょ?照れるさぁ、そんなの」 裕ちゃんが、なっちのほっぺをつんっと指で突つく。茶化すように。 「どーなん?自分は。裕ちゃんに、特別やでー、って言われて。どう思うん?」 「うん……嬉しいよ、なっちは」 単純な口が、勝手に先に喋っちゃってた。 そんなこと言ったらどうなるのかなんて、考えてなかった。 頭の中で、思い出してたんだ。裕ちゃんのちゅーとか、セクハラとか。 恥ずかしくてドキドキして焦って、でも。 でも、何故だかなっちは笑ってた。いつもいつも。あのときもあのときも。 ずっと。 と、裕ちゃんがずるずると崩れ落ちるように。上半身、なっちにもたれかかるみたいに力なく抱きついてきて。 「……な。あー、裕ちゃんちょっと安心や」 はーっ、て。深く吐き出されたのは安心の溜息だったみたいだ。 なっちはやっぱりドキドキして赤くなっていたのだけど。 「ちゅーとかされても、嫌と違うねんな?」 「ん、うん。別に、やじゃないよ」 「えーねんな?」 「……っそういう意味!?でも、いきなりするのはナシだよ……って」 あぁ、もう。 今夜のなっちは、どうしようもない。 だっていきなりするのはナシってことは、いきなりじゃなければアリってことで――だから。 「するよ?イイ?」 ご丁寧に予告してくれる裕ちゃんの言葉に、目を閉じるしか、ないから。 ふれた唇に、全身の力が抜けるあたしがいるから――。 |