La la la
−5−



裕ちゃんちに近づくにつれて、緊張が高まってくみたいで。

足取りは、正直いって、重い。

――『暇やったら、うちにおいで』。

こないだの話の続き、しよか、と。届いたメールにはすぐ『行く』って返せたのに。



右手に下げたコンビニの袋。一応お菓子とジュース持参で、ビールも買おうかなって迷ったけど、やめた。

だって、なっちはお話しに来たんだから。酔っ払い裕ちゃんじゃダメなんだから。

まぁ、なっちが買ってかなかったところで、裕ちゃんちにアルコールが置いてない訳ないんだけど。

……ドアの前で考え事してても仕方ないね。

左手で、ゆっくりとチャイムを押した。



ぴんぽん♪って微かに聞こえて、しばらくしてドアの向こうに人の気配。がちゃりと鍵を外す音、そっと開くドア。

「はい、いらっしゃーい」

くつろいだ服装の裕ちゃんがそこにいた。

「こんばんはぁ」

あたしは笑ってみせて、招き入れられるまま、部屋の中へ。

近づくとふわり、って香るいい匂いはシャンプーかな?それから、馴染みのある裕ちゃんちの匂い。

お酒の匂いがしなかったことに、少なからずほっとしてたりして。

「珍しー。飲んでないんだね」

「……そら、来るって分かってたらな。あたしが呼んだんやし」

裕ちゃんを苦笑いさせる軽口。……なんだ、いつもと同じだ。大丈夫。

あれ?ってことはなっち、なんか不安に思ってたのかな……?



「ま、座って。ビールでも飲む?……冗談やって。ウーロン茶でえーな?」

「あ、なっち買って来ちゃった。ジュースとね、おつまみ」

裕ちゃんちに来るのは、そういえば久しぶりだ。

東京に出てきたばっかりの頃は、よくお泊りさせてもらってたけど。

部屋の中は、あの頃と変わらない、落ち着いた雰囲気。

「じゃ、これ。グラス」

「うん、ありがと」

差し出された空のグラスを受け取る。裕ちゃんのもう片方の手には、たぶんウーロン茶の入ったグラス。

部屋の真ん中辺りにあるテーブルにそれを置いて、カーペットの床に座った裕ちゃんの隣、なっちも腰を下ろす。






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