La la la
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| 「……裕ちゃんは、なんでそうなの?」 鏡に向かってメイクしながら聞いた。椅子に座ってるあたしの肩に、手を乗せてるそのヒトに。 つまり裕ちゃんはあたしの後ろに立って、悪戦苦闘してるのを楽しそうに覗き込んでるんだ。 「なんでって何が?」 あたしの髪の毛をいじりながら、はなうたみたいに返す。 「だから、なっちにキスとかしたりするのはなんで?」 ふっ、と小さく笑う声が、頭の後ろで聞こえる。今さら……って。 「なっちが可愛いからって言ってるやん、いつも」 背中にぴっとりくっつかれて。その拍子に、ラインを描いてた口紅がはみ出た。 「じゃましないでよもーっ」 手を止めて振り返って叫ぶ。あはははゴメンゴメンって裕ちゃんが笑う。 失敗した部分を丁寧に拭きとってくれて、改めて綺麗に塗り直してくれて。 「ほら、オッケーやで」 最後にぽん、と軽く頭を叩かれて。それで終わり。この話も終わり。いつもおんなじ。 ――ずるい。 裕ちゃん、なんか、ずるい。 「どないしたん?怖いカオなってるで」 ずるいずるいずるい。抱きついたりキスしたり散々ひとのことドキドキさせて、 そのくせおねーさんぶって優しくして自分ひとりで分かっちゃってて。 「なんか、全然わかんないっ」 声が。自分でも知らず知らずのうちに、強くなってた。 でももう止まらなくて、裕ちゃんがちょっとびっくりした顔しても知らないって思った。 「裕ちゃんの考えてること、なっちは全然わかんないよっ!」 ……こういうの。キレた、っていうのかな。頭の中じゃ、まずいって思ってるのに。 と。 「ゴメンな」 裕ちゃんは、小さく、誠実に謝ってくれて。 「でも、分からんと思う。でも、それで……その方がえーんちゃうかな、と思う」 もっともっと小さい声で、付け足すみたいに、言った。 |