Good girl
−from Maki−



裕ちゃんと一緒に御飯を食べに行った。



二人でいるのは前ほど不自然じゃなく、それでも珍しいことには変わりない。

緊張するのとも気を使うのとも違う、なんだろう――独特の空気。

きっと裕ちゃんも同じに感じてる筈だから、別にいいけど。



『ソロ活動、どうなん?』みたいに聞かれるのかと思っていたら、そういう訳でもなくって。

ただ裕ちゃんは、御飯を食べてる間、時々手を止めて後藤を見てた。

「――よぉ食べるなぁ」

「うーん?美味しいよーコレ」

「いやな、だってさっきまでお菓子食べてたやろ」

「うん、おせんべ。いつも持ってるんだー」

「あと、何や。差し入れの果物も食べてたやん」

「スイカ。スイカ切ったやつがあったからねぇ、それだけ」

「な。だから、よぉ食べるなぁ、って」

そうだねー、と答えて、あたしは少し笑う。喋りながら、自分だけが箸を動かしているのに気づいた。

裕ちゃんの視線は、当たり前だけど仕事中より全然柔らかい。その眼差しが、よりいっそう細められて。



「ごっちんは、いい子やなぁ」



ごちそうさまでした、と手を合わせたとき、裕ちゃんがそう言った。

突然だったので何を言われたのかよく分からなくて、首を傾げる。

「いい子やねー言うたんよ。な」

な、って言われても。そんな言葉が出るような覚えがない。曖昧に笑った。

「後藤、あんまり言われないよ?」

それでも、裕ちゃんはこちらを見つめたまま、楽しそうな顔をして。

「えぇやん。って、あたしも今いきなり思ってんけどな」

いい子、いい子。

歌うように言いながら、手を伸ばして後藤の頭を軽く撫でた。



褒められるのは、嬉しい。

それは、普段あんまり褒められることがないから、じゃなく。

――裕ちゃんに褒められるのは、嬉しい。

抗いようのない、本当のこと。メンバーみんなが知ってる気持ち。

「さて。じゃあ、戻りますか」

伝票を摘む鮮やかな指先と、先に立って歩き出す細い背中と。

追いかけて。



この、気持ちを。

なっちやカオリや、圭ちゃんもやぐっちゃんも、みんなが抱いてる気持ちを。

――もっと早く、気づいていたら良かった。

「ごっちん?大丈夫か?お腹いっぱいになったら眠くなったんちゃうかー」

冗談口に、やっぱり曖昧に笑って、少しだけ足を速めて横に並ぶ。

一度だけ、伝えたいな。隣を歩きながら、何故だか泣きたい気持ちでそう思った。