On your side
−from Mari−



「アイラヴ矢口ー。おはようさんっ」

朝の挨拶と一緒に、ぎゅっと抱きしめてくる腕。細くてそのくせ強引な、相変わらずの。

「もーう、裕ちゃん!なんで普通に『おはよう』って言えないかなぁ!」

あたしは、もがく。ぺしぺし叩く。いつもみたいに。いつもと同じに。

――裕ちゃんが、きっとそうして欲しがってるから。



裕ちゃんから、脱退することを直接聞いて。公式な会見も済んで。表向きは何も変わらず、仕事は続く。

どんなに抗ってもその日がやってくるなら、それまでは出来る限り笑っていたい。そう願った。



「矢口ぃー」

仕事の合間にも、不意を突かれて閉じ込められる、裕ちゃんの腕の中。



――身体を包む温もりに、一瞬、目を閉じてしまいそうになった。

振り解きたくない!って、心の何処かで叫んでる自分がいる。残りの日々×24時間、このままで――。



でも。



「あー、もう!ゆーちゃん!離してーっ」

喚いて、暴れて。笑い合う。裕ちゃんが楽しそうだから、大切なのは、それだけ。



思い出作りなんかじゃなくって、今さら気づいた。

裕ちゃんと、矢口と。お互い好き放題して、それで一緒に笑ってるのが最高に楽しかったんだ、って。

だから。これからも、裕ちゃんと矢口と、そういう二人でいたいから。

ずっと、味方。どんなに遠くなっても、また、いつか。きっと、顔を見合わせて、笑える時が来る。