Time and tide
−from Kaori−



押し流されそうな寂しさの、その下。



なんで、今なんだろ。それだけが分からない。

誰だっていつかは辞めていく。

娘。っていうのはそういうものなんだ。圭織はもう、ちゃんとそう思ってる。

だから、裕ちゃんも、いつかは圭織より先に――年齢からしたらその方が普通だから――いなくなるんだろうな、って。それは分かってた。

ちょっと、考えたりもしてたし。裕ちゃんがいなくなった、娘。のこと。……あんまり想像つかなかったけど。



それで。だから。

考えてた筈なのに、やっぱり嫌で。こんなに嫌だって思う自分に、少しびっくりして。

それは、結局『なんで今なの?』って思っちゃってるせいだと、思う。



勘が外れて悔しいだけ、なのかな。

圭織は、圭織となっちがハタチになるまでは、裕ちゃんが一緒にいてくれるって思ってた。

なんで、って聞かれても分からないんだけど。そんな気が、していた。



だって、喜んでくれてたじゃん。「来年は二人が二十歳になるんです」って、去年の暮れぐらいから。

あのときは気が早いなぁって呆れたけど、それでもそれは、そういうことだと思っちゃって。



……嬉しかったんだよ。裕ちゃんが嬉しがってくれるのが、すごく嬉しかったんだよ。




そして、本当の本当は。圭織は。

裕ちゃんが三十歳を過ぎたって、一緒にいたいな、って思ってたんだよ。