Beginning of the end
−re・start−



「なんで、違っちゃったんだろうね」

ひとしきり泣いた後、ごめん、と謝ったあたしに、紗耶香は曖昧に笑って。それから、少し訝しそうに呟いた。

「あたしも、会いたいと思ったのに。なんで、違うんだろ」

「――いろいろ、あるからね」

好きって気持ちには、ね。

さっき抱きしめたときに分かった、紗耶香の純粋な――単純な、寂しさ。物足りなさ。そこからきてる、『会いたい』気持ち。

それでも、それだけでも嬉しいと思えてしまったあたしだったけれど。

「なんか、なんか市井、負けてない?ちょっとさぁ、悔しいんですけど」

訳知り顔のあたしに、紗耶香が唇を尖らせた。

「なに言ってんの。いいじゃん、あんた、愛されてるんだから」

さらっと口をついて出た言葉に、あたしは自分で笑う。そっか、と紗耶香があっさり納得してくれてしまうから、なおさら。

「そうだよ?」

なんだかずっと忘れてた気がする、こんな調子。久々に感じる楽しさに無責任に浮かれて、あたしは紗耶香の額にくちづけた。

「……なんだよぅ」

見上げる視線は、柔らかい。何さ?って、あたしは余裕のふりをしてみせる。

と。

不意に紗耶香の顔が近づいてきて、ほんの一瞬――唇が。ふれた。

「……っ」

得意げに笑う紗耶香に、あたしは動揺を悟られないようにでこピンをひとつお見舞いするのが精一杯だったりして――。



懐かしいけれど少しずつ変わっていく。あたしも、紗耶香も。

大好きだった。だけどもう、紗耶香は前の紗耶香じゃないから。

あたしも、もしかしたら、紗耶香が会いたいと思ってくれたあたしとは違うのかもしれないし。

だってそれは仕方がない。毎日毎日一緒にいたのに、今はこんなに、遠い。

「……また、会いたいって思うかも、だよ?」

「あたしも。また、紗耶香のこと、好きだなって思うかも」

お互いに、近しいメンバーじゃなくなってしまった今。これから気持ちがどうなっていくのか、あたしには分からない。

だから、ただ、言えることは。



「まぁ、これからもよろしく、ってことで」

「はい。こちらこそ」



今まで、誰よりも大切だった、あなたに。