As know as



ぴったりと背中にもたれかかっている後藤の頭が、微かに揺れた。

「……起きてる?」

「うん」

頬か額を擦り寄せてる気配がして、後ろから抱き着いてる腕が強さを増した。

何分、こうしているんだろう。動きが限られている状態で、ここからは時計が見えない。

テレビなんかも点いてないから、時が止まっていてもきっと気づかない。

「圭ちゃんの、心臓の音が聴こえる」

突然の言葉に、瞬間、動揺した。

「――あ、ちょっと速くなった」

笑いを含んだ、後藤の声。つられて心拍数が上がっていくのが、今度ははっきりと自覚できる。

目を閉じたらそれだけで、ひとつになれたような気がした。



いつのまにか、そばにいる。

近づいていた。身を寄せてみた。縋るように抱きしめて、すごくすごく心地よかった。

確かな言葉の何も無いまま、他の誰にも代われない存在だと知って。



「ごっちん。こっち、来てよ」

胸元で交差してる腕を引いて、身体の正面へと誘う。

「やーだ」

「なんで」

「だって、そっち行ったら圭ちゃん、チューとかしようとするんでしょ」

頑なに背中に張りついている後藤の様子に、苦く笑った。見透かされてる。

「相変わらず、それは嫌なんだ?」

「嫌っていうか。今日は、いい」

率直な子供の口調。それは全然、許容の範疇。甘やかし気味に腕を撫でた。



不意に、その腕に力が込められる。ぐん、と抱きしめられる感触に身を竦めたら、頬に唇が掠めた。

「後藤……」

「なんでもない」

ひどく緊迫感に満ちた声で呟かれて、動けなくなる。

耳元に、何度か。それからゆっくりと、首筋にキスが続く。



目に映るのは、いつもと変わらない部屋の中。

時間の感覚を無くした夜。

包み込むように腕に抱かれて、もうひとつの鼓動を聴く。

馴染んでしまった、その速さを。



間違えようもなく確信した。

今の自分が在るべき場所。

――正しく、ここに。



ちゃんと、いるよ。